第12回目のお話 ミツツボアリ

ミツツボアリは花蜜を貯蔵係の働きアリの体内に蓄える。この生きた"蜜壺"のおかげで、食べ物が乏しい時期にもアリの群れは生き延びることができる。
孫と一緒に見ていた図鑑の中で見つけたこのアリに私は惹きつけられてしまった。もう少しその生態を詳細に語ってみる。

アカシアの木の樹液と花蜜を吸うアブラムシが出す余分な糖分を貯蔵係でない働きアリが吸い取る。そして働きアリは集めた液体を貯蔵係の口に入れる。これが"蜜壺"行きになる。アリは蜜を出し入れするために決められた暗号どおりに貯蔵係の触覚を叩く。すると貯蔵係は口を開け、閉じられていた蜜壺を開く。蜜の出し入れは胃についている特別な弁によって制御される。貯蔵係のアリは安全な地下でほとんど動かずに暮らし、様々な危険から守られている。さらに細菌や菌類から身を守るために特別な腺から分泌した抗生物質を体に塗る。
そうやってぶらさがったまま蜜の出し入れを繰り返し、数ヶ月の生涯を終える。

どんな小さな生き物も命を与えられた瞬間から必要な糧を与えられ、素晴らしき叡智により守られているのだ。なんと完璧で慈愛に満ちた創造であろうか。
 小さなアリの王国を思うことは広大な宇宙に思いを馳せることに他ならない。人間もその構成員としてそれぞれの役目を果たすためにこの世界に送り込まれたに違いない。
今もしあなたが生きる意味を探してウロウロしていたとしても、それは大した問題ではない。
ミツツボアリの一生が無意味ではなくて、そこには明らかに命の輝きがあって尊厳があるのだとわかるように、あなたも高みにおられる方から確実に承認されているのだから。
いなくていいひとはひとりもいないし、なければよかった過去もひとつもないのだ。

アリの王国についてもう少し知りたくなった。

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