第一回目のお話「発病」 ALアミロイドーシス

 3年前の健康診査で異状が見つかり総合病院を紹介された。1ヶ月近くかかった諸検査の結果で“ALアミロイドーシス“という聞き慣れない血液の病気であることがわかった。原因不明で進行性の病い。適切な治療をしなければ数年で死に至るらしい。

人間はいつか確実に死ぬし、還暦を過ぎた私の身に何が起ころうとそんなに大騒ぎすることはない。これから起こるであろう体の不調にしっかり向き合ってせっせと自己管理していこうなんて考えていた。病名を告げられてその指針がより明確になったんだもの、ありがたいことだとも思った。

だがしかし、めんどくさいのはその後の月日だった。病気そのものは善でも悪でもない。神様の命令で誰かさんの体に住み着く。それによって患者の体の各部位が侵されてゆく。それだけならわかりやすいが、実際に患者が経験してゆくのは見えないものに対する不安や恐怖、それによる自律神経の乱れなのであり、それは時に病いそのものよりも患者を圧倒してしまう。経験してみてはじめてわかった。

今こうして元気に過ごせていることに心から感謝している。

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